輸入時に支払う関税や消費税はどのように計算するのですか?
関税の算出方法は、課税標準が価格による従価税品であれば、卸売価格、運賃、保険料、その他加算要素(無償提供の部材などの評価額)の合計額(CIF価格)に関税率を乗じて算出した額です。(1,000円未満切捨て。関税額は100円未満切捨て。)
また、消費税は、端数処理前のCIF価格と端数処理後の関税額の合計額(千円未満切捨て。)に対して課税されます。
なお、アルコール飲料については、「CIF価格+関税額+酒税額」に消費税が課税されます。
消費税が免除される一般的な輸出取引の範囲を教えてください。
(1) 課税事業者が行う次の輸出取引については、消費税が免除されます。
①国内からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
ただし、輸出取引を行う事業者に対して行う国内での資産の譲渡等は輸出取引には該当しません。
②国内と国外にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送、通信、郵便又は信書便
③非居住者に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡又は貸付け
④非居住者に対する役務の提供
ただし、a.国内に所在する資産に係る運送又は保管、b.国内における飲食又は宿泊、c.その他a又はbに準ずるもので国内において直接便益を享受するもの(例:理容・美容、医療・療養、観劇や語学教育に係る役務の提供)を除く
輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要です。
上記Q2の(1)の①~④の輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書又は輸出の事実を記載した帳簿及び書類を整理して、納税地に7年間保存する必要があります。
①のうち輸出の許可を受ける貨物の場合→輸出許可書
①のうち郵便物として輸出する場合で、当該資産の価額が20万円を超えるもの→税関長が証明した輸出許可書
①のうち郵便物として輸出する場合で、当該資産の価額が20万円以下のもの→帳簿又は書類で法定事項が記載されているもの
②の取引の場合→帳簿又は書類で法定事項が記載されているもの
③及び④の取引の場合→契約書その他の書類で法定事項が記載されているもの
(注)輸出取引を実際に行った場合であっても、上記の証明ができない取引は「輸出免税」が適用されません。
当社は、日本から国外の倉庫に商品を移送し、国外の顧客の注文に応じて顧客に出荷して代金はクレジットカードで回収します。この場合の消費税の取り扱いはどうなりますか。
国外の倉庫から国外の消費者に商品を販売する取引は、国内における資産の譲渡等に該当しませんので、消費税はかからないこととなります。
法人又は個人事業者が国外における資産の譲渡等又は自己の使用のため、資産を移送した場合において、その仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用は受けられますか。
課税事業者である法人又は個人事業者が、国外における資産の譲渡等又は自己の使用のため、資産を移送した場合には、その仕入れに係る消費税額の控除の適用を受けることができます。
つまり、典型的には、内国法人が、日本国内で仕入れた商品を国外で販売するために国外に移送した場合には、輸出の証明がある限り、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、仕入れに係る消費税額の控除の規定が適用されます。
仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用できるのは、課税事業者に限られ免税事業者は除かれていると聞きました。
免税事業者から課税事業者になるにはどうしたらよいのですか?
適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中、それ以外の期間については、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。
ただし、基準期間(課税期間の前々期)の課税売上高が1,000万円を超える場合や、資本金が1,000万円以上であれば設立から2事業年度の間は課税事業者となります。
免税事業者とはどのような事業者でしょうか?
個人事業主であれば、2年前、法人であれば2事業年度前の売上高が1,000万円以下(事業年度が1年未満の場合には年換算額)であれば免税事業者となります。また、事業を開始したばかり、あるいは法人を設立したばかりでも、2年前の売上がありませんので免税事業者となります。(ただし、資本金が1,000万円以上の法人であれば、設立初年度より課税事業者となります。)
仕入れ税額控除を受けるための要件にはどのようなものがありますか?
仕入税額控除を適用するためには、請求書等を保存しかつ会計帳簿にも記録しなければなりません。
仕入れ税額控除が認められる請求書等とはどのようなものでしょうか?
請求書等には、作成者の氏名又は名称、取引年月日、取引内容、税込みの取引金額、交付を受ける事業者の氏名又は名称が記載されていなければなりません。
また、会計帳簿には、仕入先の氏名又は名称、取引年月日、取引内容、税込みの取引金額の4項目を記載しなければなりません。
小さな金額であっても請求書等の要件を満たさなければなりませんか?
1回の取引の課税仕入れの支払対価の合計額が3万円未満の場合には、その課税仕入れについては帳簿に所定の事項を記載することで、「請求書等」の保存がなくても仕入税額控除ができます。
また、1回の取引の支払対価の合計額が3万円未満かどうかは、1回の取引の課税仕入れの税込み金額により判定するのであって、1商品ごとの税込み金額で判定するのではありません。
請求書等の交付が受けられなかった場合にはどうしたらよいのでしょうか。
1回の取引の課税仕入れの支払対価合計額が3万円以上のものでも、「やむを得ない理由」により請求書等の交付を受けられない場合には、帳簿に記載すべき4項目の事項に加えて「やむを得ない理由」及び「その相手方の住所又は所在地」を記載することにより、仕入税額控除ができます。
この場合のやむを得ない理由とは、次のような場合です。
自動販売機を利用した課税仕入れを行った場合、入場券、乗車券、搭乗券等のように、その譲渡した者により回収されることとなっている場合、課税仕入れをした者が、その相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合、仕入れをした課税期間の末日までに、その支払対価の額が確定していない場合、
また、この場合に、旅客運賃業者や郵便事業者、出張旅費等は、帳簿に相手方の住所又は所在地の記載を省略することができます。
輸出取引について課税売上として申告していた場合に更正の請求により還付を受けることはできますか?
消費税法においては、事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、輸出取引等に該当するものについては、消費税を免除する、とされています。
そこで、輸出取引等の範囲ですが、
本邦からの輸出として行われる資産の譲渡、貸付け 外国貨物の譲渡、貸付け 国内及び国外にわたって行われる旅客、貨物の輸送、通信 専ら③の輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡、貸付け、修理で船舶運航事業者等に対するもの ①~④の資産の譲渡等に類するものまた、この規定は、輸出取引等であることにつき、証明がされたものでない場合には、適用しない、とされており、証明方法としては、輸出の事実を記載した書類又は帳簿を整理し、その課税資産の譲渡等を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存することにより証明する、とされています。
つまり、輸出取引であり、その証明ができるものであれば還付を受けることができます。
輸出をしている事業者が消費税の還付を受けるというのはどういう仕組みなのですか?
事業者が国内で商品などを販売する場合には、原則として消費税がかかります。
しかし、その販売が輸出取引に当たる場合には、消費税が免除されます。これは、内国消費税である消費税は、外国で消費されるものには課税しないという考え方に基づくものです。
輸出売上のある事業者は還付を受けられる可能性がありますが、すべての事業者が還付を受けられるわけではありません。
輸出売上と国内売上の割合にもよりますし、免税事業者であれば還付を受けることはできません。
事業を開始したばかりで消費税の還付を受ける方法はないのでしょうか?
課税事業者を選択するという方法があります。
課税事業者選択届出書を設立1期目であればその事業年度が終了する前、2期目以降であれば、その事業年度が始まる前に提出すれば課税事業者になることができます。
簡易課税を選択している場合と免税事業者である場合です。
簡易課税制度は、売上等の課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額を一定の額とする制度ですので一切還付を受けることができません。
また、免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないとされており、これも還付は受けられません。
消費税は、輸出については課税されないこととなっていますが、その適用を受けるためには、輸出されたことの証明があるものでなければならないと定めれています。
この証明のことを輸出証明書等といます。それは関税法67条の規定により輸出の許可を受ける貨物である場合には輸出許可書をいい、航空輸送貨物の関税手続きの特例等に関する法律3条の規定に基づき電子情報処理組織を使用して輸出申告し許可があったものにあっては輸出申告控および輸出許可通知書をいっています。なお、郵便により輸出した場合で当該輸出の時における当該輸出する資産の価額が20万円を超えるときには、税関長が郵便物輸出証明申請書の提出により交付した書類としています
つまり、これらの書類がなければ還付を受けられないこととなります。
消費税は、輸出については課税されないこととなっていますが、その適用を受けるためには、輸出されたことの証明があるものでなければならないと定められていますが、これはどのように入手したら良いのでしょうか?
関税法により輸出の許可を受ける貨物である場合には、税関への輸出の申告を行い、必要な検査を経てその許可を受けた際の輸出許可書が証明となります。
また、電子情報処理組織を使用して輸出申告し、輸出の許可があったものについては、輸出許可通知書、郵便物として輸出する場合にも、輸出する資産が20万円を超える場合には、同様に税関への輸出の申告を行い、許可を受けた際の書類が必要になります。
この場合、輸出される資産の価額が20万円以下であるときは、輸出した事業者の氏名、住所、年月日、品名、数量、価額、仕向地を帳簿に記載し、書類を保管しておく必要があります。
国外において商品を販売するために輸出した場合の消費税の扱いはどうなりますか?
事業者(免税事業者を除く。)が国外における資産の譲渡等又は自己の使用のため、資産を輸出した場合には、その証明がなされたものについては、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなされます。
輸出価格が30万円を超える場合には、ハンドキャリーであっても輸出許可が必要であるため、輸出許可書が発行されることになりますが、おおむね30万円以下の場合には、口頭での申告でも良いものとされています。
しかし、再輸入を前提とする場合や消費税計算における輸出免税金額において問題になる可能性を考慮すると、あえて託送品申告書を提出し輸出許可印をもらっておくことも検討に値します。
課税期間の短縮とはどのような制度ですか?
納税地の所轄税務署長に課税期間特例選択届出書を提出することによって課税期間を短縮することができます。
特に輸出企業において、消費税の計算期間を3ヶ月毎や1ヶ月毎に短縮することにより、資金繰りに寄与することとなります。
輸出事業者における消費税の還付漏れはどのような場合に生じますか?
輸入時の外国貨物を引き取る際に支払う消費税の控除漏れが生じている場合が考えられます。
これは、本来は、消費税の支払い額から控除されるものですが、仕入れ価額や、租税公課として控除されていないことにより生ずることが多いようです。
輸入消費税が、仕入税額控除を受けるためにはどのような要件がありますか?
申告納税方式の場合には、輸入許可書、賦課課税方式の場合には、携帯品・別送品申告書又は輸入託送品申告書を保存しておく必要があります。また、帳簿書類には、引き取り年月日、内容、引き取りに係る消費税額及び地方消費税額の記載が必要となります。
なお、通関業者に輸入手続きを委託している場合であっても、輸入許可書の輸入車の欄が通関業者になっていると仕入税額控除が受けられないので注意が必要です。
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鈴木秀明 税理士 東京税理士会 第92176号 行政書士 東京都行政書士会 第09080807号 宅地建物取引士、ATP、SIP 昭和40年 札幌市生まれ 同志社大学 経済学部卒 大手不動産会社で総務・経理を経験後、仲間と独立起業するもプロジェクト完了を機に役員を辞任。 税理士・経営コンサルタントを志し、税理士事務所にて小規模企業数十社の税務会計業務に携わる。その後、税理士事務所のグループ会社であるコンサルティングファームに移動し、売上高10億円から200億円ほどの企業の目標管理、経営計画の策定、給料規定の作成、事業再生、組織再編、事業継承、財務分析、金融機関対策、幹部教育、役員会・業績検討会議への参加等多岐にわたるコンサルティングを行う。 同時にグループ内の税理士法人のナンバー2として、税理士法人の運営管理を行い、BSC・成果主義などの導入を行うとともに、税理士としては、非上場株式の株価算定、持株会の設立、財務・税務デューデリ、タックスコンプライアンス診断、相続税申告等を行うとともに、100社以上の税務調査を経験。 平成20年に独立し、BPS税理士事務所(現:BPS国際税理士法人)、コンサルティング会社を設立 平成23年 BPS税理士法人(現:BPS国際税理士法人)を設立 又坂雅光 税理士 北海道税理士会 第120459号 昭和48年 札幌市生まれ 大原簿記学校卒 大手出版社勤務後、税理士を志し中堅会計事務所に就職。 自ら飲食店、建設業、製造業、商社、IT企業等30社以上顧問先を担当する傍ら部下の顧問先管理にあたり、年間200件以上の決算申告書の作成・チェックに当たる。 特に、起業家のスタートアップ時の法人成り、会社設立、融資相談、記帳指導、ソフト導入、管理会計制度の構築等に強みを発揮し、多くの起業家のバックアップを行う。 他に、決算報告会の実施、株主総会における報告、クライアントの取締役会への参加、非上場会社の株価評価、不動産評価、相続税申告、調査立会い及び税務に関する社内外セミナー講師を多数手がける。 同時にグループ会社のコンサルティングファームにて、社風調査及び財務・税務デューデリジェンスにより、オープンブックマネジメントの推進を行い多くの事業再生に貢献。 平成24年 BPS税理士法人(現:BPS国際税理士法人)に参画 水口陽介 税理士 東京税理士会 第125959号 行政書士 東京都行政書士会 第14081570号 昭和55年 北海道富良野市生まれ 小樽商科大学 商学部 社会情報学科卒 平成14年、大学在学中により札幌の税理士法人にて数十社の顧客を担当し、個人事業主・小規模企業の財務会計業務に携わる。また、大学卒業後、同グループのリスクマネジメント部門を兼務し、保険を始めとした節税のプロフェッショナルとして様々な企業のコンサルティングを行う。その後、同税理士法人の東京事務所へ移り、数十億規模企業の税務顧問を始め、経営診断調査や業績検討会議、セミナー講師等様々な業務に携わる。 平成20年、BPS税理士事務所(現:BPS税理士法人)の創業メンバーとして、立ち上げ時より事務所の理念である「高品質・低価格なサービスの提供」を徹底的に実践。これまで300社以上の会社設立に携わり、税務会計業務、融資案件の経営計画査定等、数多くのスタートアップ支援・事業拡大に貢献。 平成25年 BPS税理士法人(現:BPS国際税理士法人) 役員就任 福島隆弘 税理士 東京税理士会 第150785号 昭和60年 東京都生まれ 千葉大学 法経学部 経済学科卒 大学卒業後、専門商社等にて営業職を経験した後、税理士の資格取得を目指し、BPS税理士法人(現:BPS国際税理士法人)に入社。 入社後、個人事業主・小中規模の税務会計業務に携わり年間100超の決算申告書を作成。 特に海外在住者の税務処理を得意としており、お客様のニーズに合わせた適切なアドバイスを提供している。 令和5年 BPS税理士法人(現:BPS国際税理士法人)の所属税理士して税理士登録 |
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